「精子バンク」という言葉は、聞いたことがありますか?
日本では、不妊治療をしていれば知っていることかもしれませんが、やはり「精子バンク」の知名度は低く、どういうものなのか分からない人が多いと思います。
現在、海外では「精子バンク」という言葉はすでに一般的になっています。
イギリスでの調査でパートナーなしで不妊治療を行っている人は2016年に1272人という結果があります。
参照:精子バンクで、親になった女性たち。「今行動しなければ、母親になるチャンスはないかもしれない」
調査レポート(英文):https://www.hfea.gov.uk/media/2563/hfea-fertility-trends-and-figures-2017-v2.pdf
不妊治療は、パートナーがいるから不妊治療を行う。といった理由だけではないのです。
すでに子どもを持つシングル家庭でも、子どものために兄弟を作りたいと考える人もいると思います。
また、同性カップルやパートナーのいない人も子どもを望んでいる人も多いはずです。
そこで活用されているシステムが「精子バンク」となります。
特定のパートナーなしで不妊治療を行うことのできるこの「精子バンク」で妊娠出産をした芸能人もいます。
海外では一般的な「精子バンク」ですが、一体どういったものなのか、そして、日本でも実施されているのか、今回はこの「精子バンク」に注目して調べてみました。
目次
精子バンクとは?
そもそも精子バンクとはいったいどういうシステムなのでしょうか。
精子バンクとは、精子を冷凍保存し、格納しておく施設のことを指し、精子バンクを行う施設では授精と培養も行います。
アメリカでは70年代に商業的な精子バンクが登場し、今では配偶者以外の男性から提供を受けて妊娠をした女性が多く存在しています。
日本よりも精子バンクが早くから取り入れられていたアメリカでは、パートナーの精子では妊娠を望めない場合に利用されることが多いようです。
しかし、アメリカでは同性カップルやシングルでも子どもを望む人は多いため、未婚女性にも精子提供が認められています。
このため、選択的シングルマザーという道を歩む人も多いです。
日本の場合はどうなのでしょうか。
残念ながら日本の場合、精子バンクは基本的に誰でも受けられるシステムではありません。
詳しい状況は後述しますが、精子バンクが利用される例としては、ガンや白血病などの治療前に精子を冷凍保存し活用するケースがあります。
これは治療後、精子を作る機能が低下する造精機能障害を引き起こすことがあるため、将来的に不妊症になる可能性が大きくなるため、事前に冷凍保存し活用するという方法です。
精子バンクは誰でも受けることができる?
同性愛者でもある女優のジョディ・フォスターは精子バンクを利用して選択的シングルマザーになりました。
ただし、実際に精子バンクを利用するためには条件が設けられています。
先ほどもお伝えしたように、日本では誰でも受けられるシステムではなく、特にアメリカとは違い、未婚の場合は難しい状況です。
というのも、日本において精子バンクを利用できる人は、
「子どもを欲しながら、不妊症のために子供を持つことができない法律上の夫婦」に限定されているからです。
この条件には、妊娠できる年齢であることや妊娠できる能力があることも条件となっているので、これに当てはまらない場合は法律上の夫婦であっても利用することはできません。
しかし、配偶者でなくても提供精子での人工授精を行っている病院も過去にはありました。
この取り組みは慶応大学病院で行われていましたが、現在は受け入れを中止しているので、日本では配偶者以外の精子を提供してもらうという精子バンクの利用は難しいでしょう。
日本では営利目的の精子提供が禁止されているので、海外のように精子バンクを行う会社は存在していません。
だからこそ、日本において私のような無償で活動している精子提供ボランティアが必要だと認識しています。
海外の精子バンクを利用する場合
日本では様々な事柄から、未婚女性や同性カップルが精子バンク利用するにはハードルが高い状況にあります。
しかし、海外の精子バンクを利用するのであれば、それほど難しくはありません。
海外の精子バンクを利用する場合、同性カップルでも、未婚女性でも基本的に条件を満たしていれば提供は受けられます。
海外の精子バンク会社から精子を得るには、インターネットから気軽に購入することができます。
購入する際、精子の運動率、ドナーの人種、瞳の色、身長、体重などの細かな情報を参考に選びます。
ただし、ドナーについての情報を細かく公開している会社もありますが、会社によっては公開している情報は違います。
したがって、より厳選したい場合は公開している情報が多い会社を選ぶと良いでしょう。
ただし、海外の精子バンクではアジア系の精子は少ないという実情もあり、必ずしも希望に合った精子を選べるとは限りません。
インターネットで手続きをした後、希望した精子は冷凍タンクに入った状態で手元に届くので、それを使い人工授精を行います。
この時、シリンジという注射器のような道具を使用して精子を膣内に入れます。
ここでの問題点としては、自宅で行うことで感染症のリスクが発生すると言うことです。
卵管炎や子宮内膜炎といった症状だけでなく、最悪の場合、腹膜炎を引き起こす可能性もあります。
また、精子や精液自体にエイズウィルスなどの感染症を持っている場合もあるので、それが胎児に感染する可能性もあります。精子バンク会社により感染症の検査を行っているかどうかは異なるので、きちんと検査を行っている会社を選ぶことが大切です。
精子バンクを利用するにあたっては、妊娠可能かという検査結果を求められる場合もありますので、事前に病院で検査しておく方が良いでしょう。
海外の精子バンクを利用する費用は?
必要な費用は利用する会社により異なりますが、おおよそ1回の購入でかかる費用は10万円程度と言われています。
大手精子バンク会社のクリオスの場合、精子の購入費用はドナーによっても違いがあります。
匿名のドナーよりも匿名ではないドナーの方が価格としては高く、また精子の運動率が高いほど価格も高いのです。
こうした精子自体の費用も必要ですが、輸送するための配送料もかかります。
また、今後同じドナーによって兄弟を持つことを考える場合には、精子を多めに購入する必要もあるでしょう。
このような場合、使用しない精子の保管費用も加わるため、より費用としては高額になります。
もちろん、精子の凍結などを行うことで精子の鮮度も落ちる為、一度で妊娠するとは限らず何度も繰り返し行う場合もあるため、最終的には100万円以上の費用がかかることがあります。
まとめ
日本では不妊治療を行う夫婦や特定の疾病を治療する場合に利用される精子バンクですが、海外では未婚女性やすでに子どもを持つシングルマザーでも利用されています。
しかし、海外の精子バンクを利用して妊娠・出産を目指す場合には、特に費用面、衛生面などの問題が立ちはだかります。
どのような子供を授かりたいか、費用面はいくらまで許容できるのか。
同姓カップルやパートナーがいない方が妊娠を望んだ場合は、十分に検討を重ねて考えていく必要があります。
精子提供ボランティア『輝』は、ご相談から精子提供まで一切無償で行っております。
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